禁断兄妹
第80章 つがいの鳥②
身体中の力が一気に抜けて
手から
拳銃が落ちた。
跳ね起きた臨一朗が足で払い
フローリングの上を回転しながら遠ざかっていく。
「バっ、バカ野郎っ!!実弾なんだぞ!!本当に死ぬんだぞ!!暴発することだってあるんだぞ!!バカ野郎‥‥っ」
叫び声と共に
しがみつくように
抱き締められて
力を失った身体は臨一朗を支えきれず
二人でフローリングの上に
倒れこんだ。
「良かった、由奈、良かった‥‥っ、由奈‥‥由奈‥‥っ」
どくどくと脈打つ二人の心音が
混ざり合う
重なり合う身体は
同じように震え
同じように熱く
振動する
一つの塊のようだ
「私は本気よ‥‥霧島に行かせて‥‥」
「‥‥っ」
臨一朗の腕に
力がこもる。
「‥‥お願い‥‥」
身も心もきしむほどの
腕の強さが
静かに
遠のいて
「‥‥行っておいで‥‥好きなだけ行っておいで‥‥」
身体の奥底から絞り出すような
臨一朗の涙声が
聞こえた。