禁断兄妹
第83章 つがいの鳥⑤
タクシーで霧島へ逆戻りした私は
臨一朗から連絡を受けているのであろう修斗の指示のもと
そのまま速やかに
おじいちゃんの家へ移送された。
結婚する直前
東京で住んでいたマンションから
箱に入れて運ばれた時と
同じ部屋
駆けつけたおじいちゃんは
ぐちゃぐちゃの私の顔を見て
何も言わず
大きな手のひらで涙を拭い
抱き締めてくれた。
ごめんなさい
すみません
私はそう繰り返すしかなかった
これでいいんだ
もういいんだ
おじいちゃんはそう繰り返した。
修斗は姿を見せなかった
修斗なりの思いやりのような
気がした。