禁断兄妹
第83章 つがいの鳥⑤
今にも溢れそうな何かを
力尽くで飲み込んだ修斗
痛いほどの沈黙が
車内に満ちて
私は後悔に
胸を焼かれた。
───純粋で自由な魂だ───
まるで羨むように言った修斗にも
自由になって欲しいと思って
後先考えず口にしてしまった
組長にまで上り詰めた修斗が
組を抜けられる訳もないのに
修斗が霧島組にいてくれるからこそ
私は陰に日向に
守られているのに
修斗の気持ちも考えず自分勝手なことを言って
バカな女は大嫌いだと言われたけれど
本当に私は
バカだと思う
「自分勝手なことを言ってごめん、修斗。本当に私はバカだね‥‥今の言葉は忘れて───」
無言のまま
私へと伸びてきた
修斗の大きな手
前髪をかき上げるように
頭を撫で
そのままゆっくりと
後頭部へ回った。
「嫌なら嫌だと言ってくれ‥‥」
息が止まるような
驚きと同時に
これから何が起こるのか
私は
昔から知っていたような
気がした。
後ろから首を掴んだ手に
力強く
引き寄せられながら
修斗の身体が
身を乗り出すように
シートから離れて
二つの唇が
重なった。