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禁断兄妹

第87章 バッドエンドの続き



「要。会いたかった。来てくれてありがとう」


大人になった俺は
素直になった。


「うん。この前君の声を聞いた時も思ったけど、やっぱり君が好きだ」


耳元で要が囁いた。
優しい声が
乾いた心に沁みていく。


「和虎君。ちゃんと付き合おう」


「うん。ちゃんと、ね」




懐かしくて新しい
俺の恋人


「結局バッドエンドじゃなかった」


「覚えてたのか」


───バッドエンドだ‥‥君の恋も‥‥俺の恋も───


最後に会った時
要が俺に言った言葉

あの頃は柊兄に叶わぬ片想いをしていたけれど
要に振られるように去られた俺は
喪失感に苦しんだ。

離れていた七年の間
要への想いが不意に湧き上がることがあったけれど
今更だと
理性とプライドで押し殺してきた。


「あんなことを言うなんて、俺も若かったんだね。
 今は、どんなことにも終わりなんてないと、思うようになった。どんなことにもその先がある。無限だ」


「無限か。永遠の愛もあるかな」


「あるだろうね」


「そっか」


嬉しい

心から応援し祝福したい柊兄と萌
二人の愛は
永遠だ


「人のことばかりじゃなく、自分の幸せも考えるようにね」


「うん。今は幸せだ」


「もう一人では泣かせないよ。これからは二人で笑おう」


「体張っていっぱい笑わせてよ」


要が笑う
クスクス笑いが体中に響いて
心地いい。


あのバッドエンドには
続きがあった

こんな素敵な続きがあった


もう一人では泣かない

涙を流すなら
悲しみより
喜びの涙を

これからは
二人で





───和虎side END───

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