禁断兄妹
第87章 バッドエンドの続き
要と別れてから
色んなことがあった
フォトグラファーとしての修行と独り立ち
長続きしないうたかたの恋
楽しいことばかりじゃなかった
うまくいかないことや辛いことのほうが多かった
一人で泣いた夜は
数えきれない
「話したいことがいっぱいあるけど‥‥全部知ってるんだろ」
「うん。君のこととなると、嫌でも見えたり聞こえたりするから、困るね」
「覗き見みたいなことしないで、俺のそばにいたらいいだろ」
素直な気持ちを
口にした。
「そうだね。これ以上君を一人で泣かせるのは、嫌だな」
「そういうこと、電話じゃなくて直接言ってくれない?」
「そっちこそ」
要の笑顔が涙で滲む。
俺も
要も
携帯を耳から離して
互いに歩み寄って
手が届く近さまで近づいた。
「老けたね、要」
「もう四十近いからね。君は変わらず生意気で可愛いな」
「嘘だよ。オヤジにしちゃイケてる。眼鏡変えた?」
「ああ。懐かしいな、その言葉」
包み込むように
抱き締められた。
懐かしくて
温かくて
悔しいくらい
嬉しくて