禁断兄妹
第88章 ギフト
「ギフトを受け取れた自分を褒めてあげましょうね。過去の辛い出来事に愛のある感情を与えることができた今の自分を、褒めてあげましょう。
自分を褒めて、自分に感謝して、ありがとうと言ってあげましょうね‥‥」
「はい‥‥ありがとう、萌‥‥ありがとう‥‥」
やっと解き放たれた
あの時の記憶
あの時の私
七年間ずっと
心の奥底に閉じ込められていた私が
今の私と重なり
一つになって
柊
あなたへの想いが
鮮やかに輝いて
今ここにある
ごめんね柊
七年も
あなたとの愛を思い出せずにいた
七年もの長い間
あなたを『兄』という立場に
縛りつけた
「柊に、早く会いたいです‥‥」
伝えたいことが
たくさんたくさんあるの
早く会いたい
早く
「もうすぐ会えますよ‥‥催眠状態はまだ完全に解けてはいませんから、まずはそれを解いていきましょうね。
‥‥さあ目を閉じて‥‥私の声を聞いて‥‥」
最初の時のように
深い呼吸を促されて
数が数えられて
先生の声を聞いている内に
私はいつの間にか
眠りに落ちていった。