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禁断兄妹

第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①


手を繋ぎ
白い息を吐きながら
寄り添うように歩く。

雪を踏む音
息遣い

もう一人ではない

隣には
俺との愛を思い出した萌がいる

湧き上がる幸福感が
苦しいほど胸を満たす。


「俺‥‥初めてかも知れない」


「うん‥‥?」


「女性と手を繋いで外を歩くのは、初めてかも知れない」


自然に萌の手を取ったけれど
昔の俺は
人前で手を繋いで歩いたりすることを好んではいなかったから


「こんな感じなんだな。新鮮だ」


「私も初めて‥‥ドキドキしてる」


甘やかに絡まる視線

人影はまばらとはいえ
あからさまなことは控えたい
俺は繋いだ手に
そっと力をこめた。


「会いたかったんだ。すごく萌に会いたいと思っていたんだ」


俺の声が届いたかのように現れた萌
どれほど救われたか


「来てくれてありがとう、萌‥‥」


萌はまた泣きそうな顔になって
繋いだ手を
同じ力で握り返す。


「私もね、本当に、本当に柊に会いたかったの」


「萌」


「会いたかった、柊」


愛に満ちた言葉を交わし
見つめあう

微笑みあい
繋いだ手から
互いの熱を交換する

それがこんなにも幸せで
心ときめくものなのだと
改めて知る


「早く萌と二人きりになりたいよ‥‥」


「うん‥‥」


話したいことも聞きたいことも
あり過ぎて

触れたくて抱きしめたくて
口づけたくて

それ以上のことも
求めてる

堰を切った七年分の想いは
溢れるばかりだ

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