禁断兄妹
第92章 禁兄 The Final~Love Never Dies~②
「ああ。知っているよ」
友人の結婚式に何度か出たことがあるから
覚えている。
「一緒に言って‥‥」
「病める時も‥‥健やかなる時も‥‥」
始めから二人で声を合わせて
「死が二人を───」
続く言葉が
互いに途切れ
顔を見合わせた。
『死が二人を分かつまで』
永遠の愛を誓っても
死がいつか俺と萌を分かつ日が来る
これほど愛し抜いた人さえも
いつか喪う日が来る
それは自然の摂理かもしれない
けれど
切なく胸が軋んでいるのは
黙り込んだ萌も
きっと同じ
「なあ萌‥‥今日母さんの墓の前で、KENTAROが光に包まれただろう。まるで母さんが光になって彼を抱き締めたようだったよな」
「うん‥‥すごく優しい、愛に満ちた光だった」
その時の神秘的な光景を思い出すと
胸が熱くなる。
「俺は、思ったんだ。肉体はいつか滅んでしまうけれど、愛は死なないんだって」
切なく眉を寄せていた萌の瞳が
瞬いた。
「たとえ肉体が滅んでも、愛は永遠だ。少なくとも俺にとっては」
「柊‥‥」
「死が二人を分かつまで、じゃない。死が二人を分かつとしても、俺は萌を永遠に愛することを誓うよ」
薔薇色の萌の頬が
くしゃりと泣き笑いにほころんだ。
「私も‥‥いつか死が、私達を分かつとしても、私は柊を永遠に愛することを、誓います‥‥」
これは二人だけの誓いの言葉
そして
二つの唇を
そっと重ねた。