禁断兄妹
第10章 時は流れて
出会った当時の和虎はまだゲイであることをカミングアウトしていなくて
女好きのふりまでしていたから
俺は和虎がゲイであることに
全く気がついていなかった。
高二のある日
俺達はいつものようにカラオケに酒を持ち込んで飲んでいた。
珍しく酔いつぶれた俺は終電を逃し
そのまま和虎の家に泊まった。
そして気づいたら
和虎が俺の上に乗っていた。
ずっと好きだったとか言われて
無理矢理キスして
身体を触ってきたから
てめーふざけんなって
ボコボコにした。
和虎も結構腕力があったから
俺をねじ伏せにかかったが
昔から喧嘩に強かった俺には
かなわなかった。
二度とすんなよと言った俺に
和虎は涙目で何度も頷いた。
この日をきっかけに
和虎は俺に一目置くようになった。
それまで名字の一ノ瀬(いちのせ)で呼んでいたのを
柊兄(しゅうにい)と呼んで
同じ年の俺を何故か兄貴と慕うようになり
ゲイであることも
モデル仲間にはカミングアウトしだした。