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禁断兄妹

第10章 時は流れて


俺は家の中には入らずに
玄関まで出てきた美弥子に手を振って
そのまま二人で外へ出た。

俺達の住む街にある歩いて行ける神社
ここに住み始めてから
何度か萌と散歩に行ったことがある。

それほど大きくはない神社だから祭りの規模も知れているけれど
夜店に行くこと自体が初めての萌は
この日をとても楽しみにしていた。


「‥‥萌、背伸びたか?」


「んー?」


「さっき頭を撫でようと思った時、ちょっと思ったんだ。今何センチ?」


「155かな」


「へえ‥‥大きくなったなあ」


「お兄ちゃん、いつも私の身長聞いて、いつもそう言うね」


「‥‥じじいっぽい?」


苦笑する俺を見上げて
萌は笑った。


「んーん。カッコいい」


「え?」


「なんか髪とか、芸能人みたい」


「ああ、これか。撮影した頭のまま帰って来たからなあ」


「すっごく似合ってる。ふふ、カッコいい」


萌は中学生になった今でも
小さな頃と変わらず
こんな風に俺を素直に慕ってくれる。

本当に可愛くて
可愛くて
たまらない。


「そっか、萌ってこういうのが好みなのか」


「うーん、そうかも」


萌が笑う。


「なんだっけ、萌の好きな‥‥あの真ん中の‥‥」


「‥‥アイズの北森君?」


萌が小学生の高学年頃から好きな
アイドルグループのメンバー。


「そう、そいつとどっちがカッコいい?」


「北森君っ」


「はは、即答かよ」


他愛もない会話をしながらのんびりと歩く。

カラコロと可愛い下駄の音をたてて
隣を歩く萌
髪に飾ったかんざしが
俺の肩の下辺りで
キラキラと揺れている。

昔はもっともっと下にあった萌の頭
今はこんなに近い。

本当に
大きくなった

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