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禁断兄妹

第10章 時は流れて


「ただいまー」


言いながらドアを開けると
目の前に浴衣姿の萌。


「お兄ちゃんおかえりっ」


満面の笑顔に出迎えられた。


「おっ」


綺麗な薄紫色の浴衣を着て
小さな巾着を持って
準備万端のようだ。


「へへー。待ってたよっ」


かなり前から夜店に行くのを楽しみにしていた萌
小さな背伸びを繰り返すように身体を動かして
嬉しそうに笑う。

可愛い


「‥‥待たせたな。ごめん」


浴衣姿が新鮮で可愛らしい

俺は萌の頭を撫でようと
いつものように手を伸ばした。


「あ、」


萌はふっと俺から身体を引いた。


「髪の毛もお母さんにやってもらったから、今日は触っちゃだめ」


「えー?」


よく見ると
珍しくアップにした髪の毛は
逆毛を立ててスプレーで固めてある。


「はは、そっか」


お洒落したい年頃なんだな
薄化粧までして
唇が淡いピンクに色づいてる。


「‥‥可愛いなあ」


思わず口に出る。


「浴衣も似合ってるし‥‥その髪もいいな」


「ほんと?」


萌は瞳を輝かせる。


「‥‥その色も似合ってるよ」


俺は自分の唇を
トントンと指先で叩いた。

萌は照れたのか
頬を染めて俯いて


「‥‥お母さんに出かけるって言ってくるっ」


逃げるようにリビングへ走っていった。

ちょっと言い方がいやらしかったかな

俺は頭をかいた。

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