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禁断兄妹

第10章 時は流れて


子連れ同士の再婚という事実は
萌が理解できるくらい大きくなったらきちんと話すから
それまでお前は何も言わず
普通の家族として接してやってくれ

東京に引っ越してきた日
父さんにそう言われた。

俺は「お兄ちゃん」じゃなくて
「柊」と名前で呼ばせて
他人であることも隠したくはなかったけれど

萌の為だと言う父さんに押しきられて
言う通りにすることにした。

確かに
まだ二歳の萌に理解できるとは思ってなかったし
小学生くらいになったら話すのだろうと
軽く考えていた。

でも父さんは
萌が中学に上がった今になっても
まだ話していない

話しそびれて
完全にタイミングを逃している。

萌が美弥子譲りのおっとりとした性格とはいえ
思春期だ
どんな反応を見せるのか不安だ。

父さんは相変わらず仕事が忙しくて
俺もあまり家にいないから
なかなか二人で話す機会がない

今も長期出張で
しばらく家を空けている。

でも
もうちゃんと言えって
言えないなら俺が話すって

父さんが戻ってきたら
必ず言おう。

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