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禁断兄妹

第10章 時は流れて


「学校はどう?楽しい?」


「うん。とっても楽しい。友達もいっぱいできたの」


「そっか‥‥彼氏は?」


「えー?‥‥そんなのいないよー」


萌はちょっと肩をすくめて笑った。


「こんなに可愛いから、モテるだろ」


「そんなことないよ」


「ホントかあ?‥‥いっぱい告られてんじゃないの?」


学校は楽しいか
彼氏はできたか
萌が小学生の頃からお約束のようにいつも聞くけれど
萌はいつまでたっても
彼氏を作る様子はなかった。


「だってお兄ちゃん、彼氏なんてまだ早いって言うじゃない」


その通りだ

彼氏はまだ早いと
俺が言い続けてきたのは事実だ。

中学生、いや高校生になったって
作って欲しくはない。


「だってそんな可愛い唇とか、奪われたくないし」


つやつやとピンク色に輝く唇
そんな萌を見るのは初めてで
本当に可愛い。

萌は愛らしい困り顔を見せて
口元を隠した。


「もー、そんなに変?とっちゃおうかな」


「違う違う。さっきも似合ってるって言ったろ。可愛いからそのままでいいよ」


「‥‥」


「変な男には絶対キスさせるなよ」


「そんなことしないもんっ」


その言い方が
可愛い

萌といると
基本俺の頭には「可愛い」という単語しか浮かばない

どんなに苛ついていたとしても
萌を見れば頬は緩み
その愛らしさに引き込まれ全ての憂さを忘れる

萌といるといつもそうなってしまって
自分でも笑える。

和虎にはこんな姿を見せられない
俺のにやけ顔を指差して
腹を抱えて笑うに違いない。

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