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禁断兄妹

第14章 地獄への入り口


一時間後

寝静まった家の中を
俺は足を忍ばせて書斎に向かった。

家の中の端に位置するそこは
完全に独立した父さんのプライベートルームで

俺が足を踏み入れたのは
今日が初めてだった。

俺を招き入れた父さんは
さっきまで萌や美弥子に見せていた表情とは打って変わって
重苦しい雰囲気に包まれていた。

これから始まる話の重大性を象徴しているようで
俺は少なからず
不安を感じた。


「話って、何」


「ああ」


テーブルを挟んで向かい合った父さん

厳しい表情で
テーブルの上に置いた両手の指を
固く組み合わせて
なかなか話始めようとしない。


「‥‥萌に関係することなの?」


早く話をつけたくて
俺は水を向けた。

父さんは
自分の両手に視線を落としたまま
口を開いた。


「この前電話で‥‥何かあったのかと、俺は聞いたな」


「‥‥ああ」


「変なことを聞いて‥‥悪かった」


「‥‥」


「お前は萌の面倒をよく見てくれて、本当の家族のように接してくれているのに‥‥俺が勘ぐり過ぎた‥‥すまなかった」


父さんは固い表情のまま
少し頭を下げた。

俺はそれには答えずに


「‥‥で?」



次の言葉を急がせた。

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