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禁断兄妹

第15章 嫉妬‥‥暗い炎


「‥‥萌には会ったか」


急に萌の名前を出されて
俺は心拍数が上がるのを感じた。


「‥‥まだ学校だろ」


「お前の言う通り、萌にはあの日のことを、まだ何も話していない。
 でもお前がいないことをあまりにも心配するから、急に外国に撮影旅行に行ってるらしいとごまかしたままだ」


「外国に撮影旅行‥‥?」


バイトの身の俺に
そんなこと有り得ないだろうが

あまりにも下手なごまかし方に
舌打ちしたいような苛立ちを感じる。


「萌は今のところその嘘を信じている。でもこれ以上お前が帰ってこないなら、お前が出て行った本当の理由を説明するつもり───」


「それだけはやめろ」


俺は鋭く父さんの言葉を遮った。

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