禁断兄妹
第15章 嫉妬‥‥暗い炎
胸ポケットから取り出したサングラスをかけると
俺は再び歩き出した。
自動ドアが開く音に気づいたのか
二人がはっとしたようにこちらを見て
繋いでいた手を離した。
「お兄ちゃん‥‥!」
心底驚いたような萌の顔が
次の瞬間
ぱあっと笑顔になって
俺の元へ駆けてくる。
「おかえりなさい!帰ってきたの?」
「ただいま‥‥」
発作的に出てきたから
何も言うことを考えていなかった。
足を止めることができない俺に
萌も一緒に歩きながら
「また旅行に出かけるの?」
萌はスーツケースを不思議そうに見ている。
「‥‥ああ」
「今日は帰ってくるの?明日は?」
「しばらくバイトで忙しい‥‥ごめん、急いでるんだ」
俺がそう言うと
萌は足を止めた。