禁断兄妹
第21章 同じ世界
「タカシ先輩もね、心配してた‥‥」
「‥‥」
「萌ちゃんに何かあったのかって、聞かれたよ。わからないって答えたけど‥‥」
タカシ先輩
優しくて面白くて
みんなの人気者
そんな人が私を好きだって言ってくれたのに
私はお付き合いをして一ヶ月もたたずに
一方的にお別れしてしまった。
私達が付き合ったことも
別れたことも
知っているのは親友のたかみちゃんだけ
みんなには内緒の
私の初めての彼氏。
「タカシ先輩、萌ちゃんのことまだ好きみたいだったよ」
「‥‥」
お兄ちゃんとあんなことをしてしまったのに
タカシ先輩とお付き合いを続けるなんて考えられなくて
熱を出して学校を三日休んだ後
すぐに会って
お別れを切り出した。
何があったの
俺のこと嫌いになったの
タカシ先輩は驚いて
悲しんで
あんな顔初めて見た。
違います
私のわがままです
これ以上お付き合いすることはできません
勝手なことを言って本当にごめんなさい
頭を下げる私に
理由はなんなの
わからないよ
タカシ先輩はそう何度も聞いたけれど
私は
本当にごめんなさい
ただ
そう繰り返した。