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禁断兄妹

第21章 同じ世界


結局私達は
部活には出ずに帰って来てしまった。

心配したたかみちゃんが家まで送ってくれて
私は歩きながら
お兄ちゃんがお父さんと喧嘩をして家を出て行ったこと
それ以来家の中はぎくしゃくしてること

お父さんから
しばらくお兄ちゃんのことはそっとしておけと言われたことを話した。


「そっか‥‥そうだったんだね」


「うん‥‥隠してた訳じゃないんだけど、話し辛くて‥‥ごめん」


まだ隠してることはあるけれど
言えることはこれくらいしかない。


「なんで萌ちゃんが謝るのー。家庭の事情ってやつでしょ。逆にありがとう。話してくれて」


優しく笑ってくれるたかみちゃん
なんだか胸が痛い。


「だからずっと元気なかったんだね。やっとわかった」


「‥‥」


「萌ちゃん、お兄さんがいなくなって、寂しかったんだね」


寂しい‥‥


「お父さんとお兄さん、早く仲直りして、又一緒に暮らせる日が来るといいね」


たかみちゃんはにっこりと微笑んだ。


又一緒に暮らす?

前みたいに普通の兄妹として?

そんなこと
もう
想像さえできない
望んでもいない

寂しいとかも違う

たかみちゃん

そうじゃないの
そういう気持ちとは違う

それだけは
わかる

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