テキストサイズ

禁断兄妹

第21章 同じ世界


「離れてるのが、寂しくて泣いちゃうなんてね。萌ちゃんて、お兄さんのこと本当に好きなんだね」


たかみちゃんは真面目な顔でうんうんと頷く。

‥‥好き‥‥

その言葉を
私は胸の中で繰り返した。

好き

何気なく投げられたその言葉は
私の胸に小さな波紋を描いて
ゆっくりと沈んでいく。


「あ、好きっていっても、変な意味じゃなくて‥‥変な意味とか言うと、余計変か。あははっ」


たかみちゃんが笑う。


「でも、萌ちゃん理想の人はお兄さんって、言ってたよね。お兄さんくらいカッコよかったら、憧れちゃうのすっごくわかるし、変な意味でも好きになっちゃいそうだねっ」


冗談半分の言葉だってわかっているのに
私はうまく笑えなくて

たかみちゃんは私を笑わせようと
おどけた調子で言葉を続ける。


「超イケメンでー、超優しくてー、スタイル良くてー、あ、あと髪もサラサラだしー」


指を折りながら言葉を重ねるたかみちゃん
私は思わず笑った。

笑った私を見て
たかみちゃんもほっとしたように笑った。

そして今度はにやっと悪戯っぽく笑って
私の腕をつんつんと突っつく。


「タカシ先輩って、似てるよね。お兄さんにっ」


「?!」


「萌ちゃんの好み、わかりやすいっ」



何かが私の中で音を立てた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ