禁断兄妹
第24章 美弥子の告白
ある日の撮影を終えた俺は
携帯にオーナーからの着信があることに気づいた。
うちの事務所はオーナー自ら走り回って仕事をしているから
普通に直で電話が来る。
移籍の話をしたいと思っていた俺は
すぐにかけ直した。
「お疲れ様です、一ノ瀬です」
「おー柊。撮影ってわかってたんだが、一応かけたんだ。すまんな」
オーナーは
今ちょっといいか、と言って
いつになく真面目な声で話し始めた。
「今日な、お前のお母さん‥‥美弥子さん、事務所に来たぞ」
「え?」
美弥子が‥‥?
思ってもみなかった話に
俺は動揺した。
「お前とどうしても連絡がとりたいと言って、わざわざ来たんだ。お前、家に携帯番号とか家の住所とか教えてないらしいな」
「‥‥はい‥‥」
「そういうのは良くないぞ」
オーナーの声は少し怒っていた。
「はい‥‥」
「お前のお父さん、病気で入院してるそうだ。話したいことがあるし、美弥子さんの携帯に連絡が欲しいと言っていた」
「入院‥‥?」