禁断兄妹
第24章 美弥子の告白
「妊娠に気づいた彼に『一人で堕ろすから心配いらない、もう二度と会わない』自分からそう言った。
奥様の死から立ち直れずにいる彼が、私と再婚するとはとても思えなかったから。
堕ろすと言ったのは嘘で、別れて一人で育てようと決めていた。
でも彼は『別れたくない、生んでくれ、一生の頼みだ』と言って私に頭を下げて『必ず再婚する。ただ時間が欲しい。三年待ってくれ』そう言った。
未練がましい私は結局巽さんと別れることができず、彼の言葉を信じて待つ決心をしたけれど、精神的なストレスからか早産になってしまって、萌は七ヶ月で生まれたの。
低体重で生まれた萌はずっと入院したままで、それからも身体が弱くて、彼には心配と迷惑をいっぱいかけたわ。
そして彼は約束通り私と結婚してくれたけれど、萌が私達の子供だという事実を巽さんに委ねることを約束させられた。
巽さんは『必ずいつか柊に話す』と言いながら、話すことがどうしてもできないみたいだった。でも私の口から話すこともできなかった。
柊君。私も、この事実をあなたに言うのが、怖かったから」