禁断兄妹
第26章 君は愛されている
テーブルの片側は外に面した大きなガラス窓
すっかり日が落ちた通りを眺めていると
店から出てきた和虎さんが両手を振りながら近づいてくるのが見えて
私は立ち上がった。
「今日は本当にありがとうございました」
聞こえないだろうけど
声を出してお辞儀した。
顔を上げると
じゃ あ ね
笑顔の和虎さんの大きな口が動く。
「はい」
ガ ン バ レ
「‥‥はいっ」
私は頷いた。
ボ ケ ろ よ
自分の頬を指で突っつく仕草
「は、はいっ」
和虎さんは笑いながらもう一度手を振ると
歩きだした。
すっと背筋の伸びた和虎さんの後ろ姿が
小さくなっていく。
ありがとう和虎さん
あなた会えて
本当に良かったです
また
会いたいな‥‥
その姿が見えなくなっても
和虎さんが立ち去った道の先を眺めて
ぼんやり立ち尽くしていた私は
道の逆方向から近づいてきた
大きなストライドの人影に
全く気がついていなかった。