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禁断兄妹

第28章 俺にとどめを刺せ ※※柊side※※


飯を食いにわざわざ電車には乗らないだろう
あの界隈には飲食店が多い
そう見当をつけた俺は事務所がある駅で電車を降りた。

事務所の方向へ歩きながら
忌々しい気持ちで和虎に電話を入れる。

繰り返されるコール音
イライラする俺の耳に


「もしもーしっ」


やっと出た和虎の能天気な声


「‥‥どこにいるんだよ」


「そっちこそ、どこにいるの?」


質問に質問で返すな

そう言いそうになるが
ぐっと堪える。


「事務所の近くにいるんだろ‥‥今、電車降りた」


そう言うと
和虎は嬉しそうに笑った。


「来てくれると思ったよ」


見透かされている。


「‥‥どこにいるって、聞いてるんだ」


「ヒカリにいるよ。あの赤い壁のカフェ」


事務所から近いその店は
和虎と二人で何度か行ったことがあった。
あと十分もすれば着くだろう。


「店入って右手‥‥窓際の席にいるよ。すぐ分かると思う」


「了解‥‥」


「あ、柊兄っ」


電話を切ろうとした俺を
呼び止める和虎の声。


「‥‥なんだよ」


「萌ちゃんて、超可愛いねーっ。俺達何かが芽生えそうっ」


「‥‥」


「柊兄、久しぶりに会うんでしょ?たぶん想像の十倍くらい可愛くなってるよ。やばいよ」


「‥‥」


「じゃ、心して来てねっ。待ってるよっ」


そのまま一方的に切れた電話


「‥‥呼び止めた意味あんのかよ」


俺は舌打ちしながら携帯をポケットに突っ込んだ。

芽生えそうって何が
ありえないくせにアホか
煽りやがって

俺の足は自然と早足になっていく。

可愛い?
知ってるよ

暫く見ない内に
きっと
もっと

それを見た自分が
どうなってしまうかも

たぶん俺は

知っている

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