テキストサイズ

禁断兄妹

第28章 俺にとどめを刺せ ※※柊side※※


俺は右手を伸ばし
萌の細い手首を掴んで
引き寄せた。


「‥‥っ!」


驚く萌の声にならない悲鳴

構わずに
エントランスの死角
円柱と植え込みの陰へと引きずり込んで
強く
抱き締めた。


「俺は、バカだ‥‥っ‥‥会いに来てしまえば、顔を見てしまえば、こうしてしまうこと、わかってたのに‥‥っ!」


変わらない髪の香り
見下ろすつむじの位置は
初めて会った時と同じで

込み上げる愛おしさに
正気ではいられない


「好きだ、好きなんだ‥‥っ、自分ではもう、止められないんだ‥‥っ。
 あの夜お前が頷いたことを何度も思い出して、都合良く考えてしまうんだ‥‥。
 萌、俺にとどめを刺せ。
 二度と近づくなと言ってくれ。
 おぞましいと言って、俺を突き放せ‥‥っ!!」


腕の中
言葉を失ったままの萌がその身を震わせ
髪を振り乱すように強く首を振る。

言えないのか
口に出せないのか
それじゃだめなんだ萌

選べ

俺にとどめを刺すか
それとも愛するか


「早くしろ‥‥っ!もう、狂いそうだ‥‥っ」


俺は本気だ



お前も
本気になれ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ