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禁断兄妹

第29章 一晩中、いちゃつきたい


「‥‥萌は何も言うなよ」


俺は瞬間的に低く囁いた。

植え込みの向こうに人の気配
ちらつくライト

俺は萌を横抱きにすると
前を開けていたジャケットで萌の上半身を覆うようにして
立ち上がった。


「‥‥!」


驚いた萌が
俺の首に慌ててしがみつく。


「おいっ、そこで何してる!!」


鋭い声と共に
俺の顔に向けられた懐中電灯の光
その眩しさに顔をしかめる。


「こんな所で何をしているっ、敷地内は入居者以外立ち入り禁止だっ」


見覚えのある
ホテルマンのような制服姿
このマンションに常駐してるコンシェルジュだか警備員


「ここの入居者です‥‥具合が悪いと言うので休ませていました‥‥失礼」


俺はそいつの横を通り抜けて
エントランスに向かった。

俺に強くしがみついている萌
震えている。


「え、あっ、おいっ」


追いかけてきた男の目の前で暗証番号を入力すると
大きな自動ドアが開いて
そいつはハッとしたように口をつぐんだ。


「た、大変失礼しましたっ」


焦ったような声を背中に
乗り込んだエレベーターのドアが
静かに閉まった。

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