禁断兄妹
第31章 同じ世界を生きよう
その時の悲しい感情がぶり返してきたのか
萌は涙声になっていく。
その身体を引き寄せて
抱き締めた。
「ごめん‥‥俺、逃げてたんだ‥‥ごめん‥‥」
俺の胸に顔を埋めて震えている萌
泣いている。
「もう、ああいうの、やだよ‥‥やだ‥‥」
萌の小さな両手が
俺のTシャツを握り締める。
「ごめんな‥‥傷つけてごめん‥‥」
何度も囁いて
その小さな背中を優しくさする。
しゃくりあげながら
萌が顔を上げた。
「‥‥もう、しない‥‥?」
涙に濡れた瞳で見上げられて
胸が締めつけられる。
「ごめん、もう二度と辛い思いはさせない‥‥」
「うん‥‥」
「俺は違う世界の人間なんかじゃない‥‥俺達は、一緒の世界にいよう‥‥?」
「‥‥うんっ」
微笑んだ萌の瞳から零れ落ちた
透明な雫
口づけて
俺は一人胸の中
永遠の愛を誓う。
「ずっと、ずっと、一緒にいよう‥‥?」
「うん‥‥うん‥‥っ」
何度も頷く萌の笑顔に
解き放たれていく熱情
もう
迷わない
「今夜‥‥一つになろう‥‥?」
俺を見上げている萌の瞳が見開かれて
揺れて
その頬が赤く染まっていく。
「‥‥はい‥‥」
恥ずかしそうに頷いた萌が
俺の胸に顔を埋める。
シャツ越しに感じる
萌の頬の熱さ
見下ろせば
真っ赤な耳
昔はもっともっと下にあった
こんなに大きくなったんだな
俺の可愛い萌
俺の最後の彼女
今夜俺達
一つになろう
そしてずっと一緒に
同じ世界を
生きよう