禁断兄妹
第35章 一人じゃない
父さんの名前が掲げられている個室
そのドアの前で
俺達はどちらからともなく繋いだ手をそっと離した。
深呼吸して軽くノックすると
明るく間延びした美弥子の声
そしてドアが静かに開いた。
「柊君‥‥いらっしゃいっ、萌もっ」
美弥子
痩せたな
「‥‥久しぶり」
「お母さん、おはようっ」
萌が俺の後ろで元気な声を出した。
「うん、おはよう。さ、入ってっ」
大きな窓から青空が見える明るい室内
その窓際に置いたベッドの上
身体を起こしてこちらを見ている父さん
痩せた
「柊‥‥よく来てくれたなぁ‥‥」
微笑んだ顔
皺が
増えた。