禁断兄妹
第35章 一人じゃない
「萌には‥‥ちゃんと全部話したから」
「‥‥」
「萌な‥‥俺を何も責めなかった。自分は二人の子供だって事実は変わらないから、別にいいって‥‥ただ、どうしてお兄ちゃんに本当のことを黙っていたんだって、お兄ちゃんが可哀想だって、泣いたよ」
俺は萌の温もりの残る右手を
握り締めた。
「俺の身勝手な生き方が、お前も、萌も、傷つけた‥‥本当に、すまなかった‥‥」
父さんは唇を引き結んで俺に頭を下げた。
「もう、いいよ‥‥」
俺は首を振った。
「謝り合いは、もうやめようぜ‥‥」
俺の言葉に顔を上げた父さん
椅子に腰かける俺を見守るその目は
澄んでいて
眩しい
俺は目の前の
晴れ渡る窓の外を眺めた。