禁断兄妹
第36章 話したいこと
二の句が継げずに立ち尽くしていると
タイミングよく美弥子と萌が戻ってきた。
「お待たせ‥‥って、あれ、柊君?」
コートを着て立っている俺に動揺する美弥子
「帰るよ。お邪魔したな」
「え、もう?」
「‥‥言っておくけど、喧嘩はしてないから。じゃあな、また来るよ」
最後の方は父さんに向かってそう言うと
柔らかな微笑みが返ってきた。
「いい時間を過ごせた‥‥ありがとうな」
俺は軽く手を上げて父さんに背を向けると
美弥子の肩をすれ違い様にぽんと叩いた。
「せっかく淹れてくれたのに、飲まなくてごめん」
ドアの前
人数分のカップを載せた盆を両手に持ったまま
固まっている萌
「なんでそんな顔してる‥‥」
俺は笑いながら萌の鼻の先をつまんだ。
「きゃっ」
「萌はもう少しいなさい‥‥じゃあな」
萌の頭の上に手を置くように軽く撫でて
俺は部屋を出た。