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禁断兄妹

第37章 永遠の愛を


「わーっ!!」


歓声を上げて萌が駆け出す。

乾いた砂浜の上
波打ち際へ向かって点々と伸びていく小さな足跡


「転ぶなよー」


珍しく雲ひとつない快晴の空
都内から二時間
俺達は人影のまばらな冬の海にたどり着いた。

十二月の空気は冷たく乾いているけれど
眩しいほどの日射し

その光を反射して
白く見えるほど煌めく海へ駆けていく萌

のんびり歩く俺を振り返っては笑って
また駆けて

振り返っては笑って
また駆けて

子犬のような愛らしいその姿に
胸の中
鉛色の霧が晴れていく。

幼い頃の俺は犬が飼いたいと思っていた。
でも萌と初めて会った日
萌がいればいいやと思ったことを思い出す。

あの日俺の膝の上で
俺を見上げては楽しそうに身体を揺らして
キラキラと笑った萌

あの日からずっと
お前は俺の光だ


「柊ーっ!!」


伸び上がるように跳ねながら
萌が俺を手招きする。

光の
射す方へ

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