禁断兄妹
第37章 永遠の愛を
「できるだけ泊まりに行くよ。萌の手料理、食べたいし」
「‥‥住んでは、くれないの」
萌が俺の目を見る。
その切なそうな瞳の色に
どうしようもなく心が揺れて
俺は言葉に詰まった。
でも
「ごめんな‥‥」
俺の言葉に萌は目を伏せた。
俺達の間を
波の音が静かに流れていく。
「‥‥そう言うと思った」
萌がぽつんと呟いて
ふふっと微笑んだ。
「柊は、もう家には戻らない気がしてた‥‥」
「‥‥頑固だから、ってこと?」
苦笑する俺。
「ううん‥‥そうじゃない」
萌は身体を起こした。
「柊は大抵のことはなんでも『いいよ』とか『じゃあそうしようか』って言うじゃない。でもダメなことはダメで‥‥うまく言えないけど、柊の中にルールみたいなものがあるんだなって、思う」
「‥‥」
「それは昔から変わらない‥‥お父さんと、似てる」
萌は砂を払いながら立ち上がると
両手を空に伸ばして大きく伸びをした。
「大丈夫‥‥お父さんも、お母さんも、柊も‥‥頑張ってる。私だって、頑張れる」
それきり萌は黙って
海を見ている。
しゃんと伸びた小さな背中に
胸が熱くなる。