禁断兄妹
第38章 あなたを助けたい
じゃりじゃりとした砂の感触の中
指先に触れた一つを取り出して目の上にかざす。
爪の先ほどの小さな巻き貝
ホールに射し込む夕日に精巧な螺旋が透けて見えた。
「綺麗‥‥」
思わず笑みが漏れる。
青空
光る海
柊の笑顔
私を映してたまっすぐな瞳
キラキラ
鮮やかに胸に蘇る。
柊
永遠の愛を誓った私の恋人
柊
あなたにまた早く
会いたい
‥‥カツン‥‥
小さな靴音が
すぐそばで聞こえた。
はっと我に返った瞬間
「おかえりなさいませ」
聞き慣れた優しい声
いつの間にかコンシェルジュの灰谷(はいたに)さんが
隣に立っていた。