禁断兄妹
第38章 あなたを助けたい
やっとたどり着いたエレベーターの前
でも最上階まで上がっている。
やだ
どうして
泣きそうになりながらボタンを押す私の背後に
灰谷さんの足音
階段を使おうか
だめ
追いかけられたら逃げられない
もうマンションの外に出よう
出口へ向かって駆け出そうとしたその時
「あの男から、性的虐待を受けたんじゃありませんか‥‥?」
囁くように
背中越しに投げ掛けられた言葉
私の心臓が
音をたてて凍りつく。
振り返った目の前
灰谷さんは今まで見たこともないような
苦悶の表情をしていた。
「‥‥こんな幼いあなたに‥‥しかも、妹を‥‥っ‥‥!」
灰谷さんの精悍な頬が
ぎりっと強い歯軋りに歪んだ。