禁断兄妹
第38章 あなたを助けたい
「ちっ‥‥違います!誤解ですっ」
「彼を庇っているんですか?!あの美しい姿形の下は、とんでもない悪魔―――」
「やめてくださいッ!!」
ホールに響いた私の金切り声
自分でも無意識に叫んでいたことに気づく。
灰谷さんは
はっとたじろいで息を呑んだ。
「す、すみません‥‥っ、あなたを追い詰めるつもりなどないんです、私は、ただ、」
チン
灰谷さんの言葉を遮るように鳴った小さなベルの音
エレベーターの扉が開いた。
もつれそうになる足で乗り込んだ私は
震える指で閉ボタンを連打した。
心臓は今にも破裂しそう
早く閉じて
お願い
早く‥‥っ
「信じてください、私はあなたの味方です!」
押し殺した悲痛な叫び声
閉まり始めた扉
「私はただ、あなたを助けたいだけなんです‥‥っ!!」
もどかしげに揺れる熱い瞳が
扉の向こうに消えた。