禁断兄妹
第39章 和虎
「今ちょっといいか?話がしたいんだけど」
夕焼け空の下
やっとかかってきた柊兄からの電話
昨日からずっと待ちに待っていた俺は
駅を出てすぐの雑踏の中
足を早めて抜け出しながら
どきどき
心拍数が上がっていく。
「今、駅出て家帰るとこ。歩きながら話すね」
「ああ」
気のない声
好き。
昨日俺は
偶然萌と出会った。
千載一遇のチャンス
柊兄に電話して萌と話すように促したら
本気で怒られた。
でも
どうしても二人を会わせたかった俺は賭けに出た。
それが吉と出たのか凶と出たのか
昨日からずっと気になっていて
気が急いている俺は柊兄より先に口をきった。
「柊兄、昨日は色々勝手な事したり、言ったりしてごめん。本当は謝る気ないんだけど、ごめんね」
「‥‥どっちだよ」
いつもの呆れ声
好き。
「つまり、俺はどうしても柊兄と萌を会わせたかったから‥‥お節介だったかも知れないけど、反省はしてないっ‥‥うん、するつもりもないからっ」
言ってるうちに気持ちが昂ってきて
語気を強めて言い切った俺に柊兄は吹き出した。
「多少はしろよ‥‥あのケチャップお前だろ。それに俺の話色々しただろ。一切しないって言ってたくせに、俺の好き嫌いまでばらしやがって‥‥」