禁断兄妹
第39章 和虎
柊兄の声は
怒っても悲しんでもいなかった。
「え‥‥それってつまり‥‥」
俺の胸が期待に高鳴っていく。
「ちゃんと会って、話ができたってことだね?」
問い掛けて
固唾を飲んで柊兄の言葉を待った。
「‥‥和虎ぁ」
黙っていた柊兄が俺の名を呼んだ。
少しだけ
真面目な声だった。
「うん」
「俺、昨日‥‥萌と寝た」
突然の
思いもしなかった言葉
足が止まる。
「萌の顔を見たら我慢できなくなって、好きだって告白したら‥‥萌も俺と同じ気持ちだったんだ」
「‥‥」
「お互いの気持ちが高まって、結局セックスまでいった‥‥」
静かに言葉を選びながら柊兄は淡々と話す。
さっきまで音を立てて高鳴っていた心臓は
しんとして
時が止まったかのよう。
「これから俺達は、秘密裏に付き合っていくつもりだ‥‥認められない事はわかってる。でももう、止められない」
「‥‥」
「俺のこと、軽蔑するか‥‥?」
「ううん‥‥」
電話なのに
俺は無意識に首を横に振った。
「しない‥‥するわけ、ない‥‥」
世界中の人が柊兄を非難しても
俺は絶対に
柊兄を非難したりしない。