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禁断兄妹

第39章 和虎


この空の下
どこかにいる柊兄

今微笑んでる
俺に
俺だけに


「また連絡する‥‥今度ゆっくり飲もうぜ」


切れた電話
耳に当てたまま動けない。

すれ違う人達が俺の顔を不思議そうに
心配そうに見上げては
目を逸らしていく。


「あの‥‥」


俺の前にやって来た制服姿の女子高生
おずおずと何か差し出した。


「え?」


「大丈夫、ですか?」


俺に向かって差し出されていたのは
ハンカチだった。

はっとして手のひらで顔を撫で回す。
心配そうに俺を見上げてる女子。


「あ、ありがとう‥‥俺涙腺弱くて。でも、大丈夫だよっ」


涙は溢れ続けたけれど
俺は笑顔を作った。


「悲しくて泣いてる訳じゃ、ないから」


悲しい訳じゃない
でも
胸が痛い

痛くてたまらない


───認められない事はわかってる。でももう、止められない───


止められないなら見守る
応援する
どんな手助けだってしたい

だけど柊兄
誰よりも幸せになって欲しいあなたが
萌と進もうとしてるその道は
どこへ続いているの

柊兄



二人は本当に
幸せになれるの

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