禁断兄妹
第39章 和虎
店が入っているビルを出ると
咥え煙草の要が立っていた。
「その顔じゃ、復縁の話ではなさそうだね」
「教えて欲しいことがある」
「いきなり本題か‥‥俺からの連絡はずっと無視していた癖に」
要は小さく笑いながら
手にしていた携帯灰皿で煙草を消した。
「要、お前が柊兄に言ったあれは、冗談だったのか本気だったのか、教えて欲しい」
「あれって?」
「‥‥死相がどうとかの話だ」
口に出すのも嫌だったけれど
意を決して俺がそう言うと
要は微笑んだ。
「あの時柊さんに失礼なことを言ったのは謝る。あんなこと言うべきじゃなかった‥‥でも目の前であんなに見せつけられちゃね。俺だって嫉妬に狂うことはあるんだよ」
「質問に答えろよ」
「そんなに焦ってどうした‥‥柊さんに何かあったの」
「いいから何が見えたのか、本当のことを教えてくれ」
息苦しい沈黙
要は根負けしたように口を開いた。
「血の海の中に彼がいるのが見えた。生きてる人間の顔じゃなかった」
「‥‥死ぬってことか」
「あくまで俺に見えたイメージの話だ。予言じゃない」
要は首を振ったけれど
俺は知っている。
要の言う『イメージ』は外れたことがない。
透視なのか霊感なのか
とにかく見えるという要の能力は本物
近い未来それは
確実に起こる。