禁断兄妹
第40章 二人の守護者
「一ノ瀬様」
マンションのエントランスホールを歩く俺に
真っ直ぐに歩み寄って来た一人のコンシェルジュ
胸のネームプレートを一瞥すると
灰谷
例の男
寡黙そうな男だと思っていたが
萌と仲が良かったとはな
俺は足を止めずに
いつもそうするように軽く頭を下げて
エレベーターへと向かう。
「お待ちください」
エレベーターのボタンを押しながら
俺は振り返った。
「あなたを、行かせるわけにはいきません。お引き取りください」
「‥‥」
「私の言葉の意味が、わかりますね?」
静かに俺を見据えている灰谷
ここまで直球で来るとは正直思わなかった。