禁断兄妹
第42章 優しくしたいけど‥‥無理かも知れない~ベッドの上で①~
抱きかかえられたまま廊下へ出た時
玄関のドアが視界に入ってはっとする。
そのドアの向こうに灰谷さんが立っていて
ドアを睨みながらじっと耳を澄ましている
そんな錯覚に襲われて
心臓が大きく波打つ。
私は柊の胸に強くしがみついて
顔を伏せた。
「どうした‥‥?」
言葉にはできなくて
黙ったまま首を振ったけれど
柊はきっと気がついたんだろう。
「大丈夫だよ。誰もいやしない‥‥俺とお前だけだよ」
そう穏やかに囁いて
私の耳に口づけた。