禁断兄妹
第49章 美弥子
しんと静まり返ったエレベーターホール
一人取り残された私は
降下を示すランプが点々と動いていくのを
呆気に取られたまま見つめていた。
一階で止まったエレベーターは上昇を始めて
再び私の前で扉が開いたけれど
誰も乗ってはいなかった。
本当に萌も帰ってしまった。
きっとせっかく来てくれた柊君がすぐに帰ってしまったから
心配になったんだろう。
喧嘩はしていないと言っていたけれど
あまりにも短い滞在時間に
巽さんと又何かあったのか
私も不安に思っていた。
萌が一緒なら安心する。
柊君をどんな風に説得したのかはわからないけれど
ここへ連れてきてくれたのは萌
どんなに感謝してもし足りない。
柊君の指の感触が残る額をさすりながら
私は病室へ戻る長い廊下を歩きだした。