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禁断兄妹

第49章 美弥子


―――出てこい美弥子!!―――


今も耳に生々しく残る
あの日の柊君の怒声

絶望に打ちのめされた瞳で力なく私を見下ろして
よろめきながら家を出ていった柊君

あの後ろ姿を
私は一生忘れないだろう。

二度と許されることはない
審判の時を先送りし柊君を裏切り続けた当然の報い
そう覚悟していたのに

―――いつものすっとぼけたあんたじゃないと、調子狂うよ―――

柊君は私の目を見て
笑ってくれた。

―――父さんの事、頼むよ―――

そう言って
まっすぐに私を見てくれた。

澄んだ綺麗な目だった。

巽さんにも
又来るよって
笑顔だった。

涙が零れた。

柊君

ありがとう

あんなにも深く傷つけたのに

ごめんなさい
ごめんなさい

ありがとう

ありがとう

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