テキストサイズ

禁断兄妹

第49章 美弥子


「‥‥お前は、出会った頃から変わらないと思ってたけど、違った‥‥」


柔らかく力を解いた巽さんの両手が
私の背中をなだめるようにさする。


「こんなに強くなっていたんだな‥‥お前のこと、いつまでも子供扱いして、悪かった‥‥」


強くなんてない
あなたを喪うのが怖くてたまらない
残された時を肌で感じて狂いそうになる。

でも
だからこそ
あなたの力になりたい
それだけ

肩で息をしながら
涙でぐちゃぐちゃの顔をあげた。

じっと私を見つめる巽さんの瞳に
光が宿る。


「美弥子――‥‥」


ゆっくりと首を傾けた巽さんの唇が
私の額に触れた。


「‥‥お前に頼みがある‥‥黙って、聞いてくれるか‥‥?」


肌に微かに触れたままの熱い唇が
思いきったように囁いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ