禁断兄妹
第49章 美弥子
ゆっくりと包み込むように
強くなっていく抱擁
「美弥子」
耳元ではっきりと呼ばれた名前
「俺は同情でお前と結婚した訳じゃない‥‥愛したから、したんだ。それだけは、信じてくれ」
頭を垂れ
深く真摯な声で囁かれて
堪えていた涙が溢れだす。
「巽さ、ん‥‥っ」
「うん‥‥?」
「‥‥生意気なこと言って‥‥ごめんなさ、い‥‥っ‥‥」
「生意気なんかじゃないさ‥‥バカだな‥‥」
声をあげて私は泣いた。
数か月ぶりの巽さんの腕の中
頬を押し当てた胸も
両手を回した背中も
どこも露わな骨の感触
───夏巳が灰になってしまった───
───もうどこにもいない───
あの日の血を吐くような巽さんの言葉が
胸に甦る。
今度は私が言わなくてはならないの
その日はそこまで来ているの
巽さん
こんなにも
温かいのに