禁断兄妹
第51章 口に出せない想い
───モデルなんて続けられないくらい、その自慢の顔を叩き潰してやる───
冷酷な低い声
思い出すだけで足が震えてもつれる。
私が聞いていると知っていながらそう言い放った灰谷さん
脅しなんかじゃない
本気で言っていた。
───格闘家だかなんだか知らないが、俺だってお前の腕くらい折れる───
静かにそう答えた柊
怖い
何か恐ろしいことが起こりそうで怖い
柊はこれから世界へ羽ばたこうとしているのに
その顔を
身体を
もし傷つけられてしまったら――――
「一ノ瀬、遅刻するぞっ」
「‥‥!」
突然背中から掛けられた声に私は飛び上がった。