禁断兄妹
第51章 口に出せない想い
「あはは、走りながら飛び上がるって、逆に器用だな」
「‥‥先輩‥‥」
「止まらなくていいから、ほら走ろう」
笑顔のタカシ先輩が
速度を落とそうとした私の横に走りながら並んだ。
学校へと向かう道
もう時間的にはギリギリで周りに生徒の姿はない。
「俺、今日寝坊しちゃってさ。一ノ瀬はいつもこれくらいの時間に来てるの?」
「いえ、あの、今日はたまたまです‥‥」
タカシ先輩とは部活でいつも顔を合わせているけれど
二人だけで話すのはお別れの話をした日以来だから
半年ぶりくらい。
走っているせいもあるけれど
緊張で息が苦しい。
「あの、私と走っていたら、遅刻しちゃうかも‥‥どうぞ先に行ってください」
「大丈夫、間に合うよ‥‥あ、もしかして俺といるのが嫌とか?」
「いえ、そんな!」
ずっと足元を見ていた顔をあげて先輩を見た。
「じゃあ、学校まで一緒に行こう?ははっ、寝坊してラッキーだったなあ」
にっこり
三日月みたいな瞳がもっと細くなって
私の顔を覗き込むように傾げた首
先輩
背が伸びた。