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禁断兄妹

第52章 由奈


気まぐれに道端の花を手折るあなた

香りをひと嗅ぎしては躊躇なくその指から零し
誘われるまま
次の花へとまた手を伸ばす。

昏い瞳のまま
手折ることをやめないその指は
胸の中に咲くたった一輪の花だけを探している。

どんな花もその代わりにはなれない
どんな花も。

だけど夢見てしまう

いつかその瞳に光が戻り
私だけを映し
優しく摘みあげてくれるその日を‥‥

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