禁断兄妹
第52章 由奈
『誕生日だったのか
おめでとう
忙しいみたいだな
頑張れよ
キャンドルの代わりに』
添付ファイルがついている。
震えそうになる指で開くとジッポの炎の写真
一ノ瀬君がいつも持っているジッポ
握る長い指も映っている。
「わぁー‥‥」
思わず声をあげた。
訝しげに私を見ている修斗
急いで携帯を閉じたけれど
胸の中にはさっきの炎が灯ったまま。
「プレゼントなんていらない‥‥メールで十分よ」
『忙しいみたいだな』
嬉しくて笑みが込み上げてくる。
『頑張れよ』
思いきってメールして良かった
嬉しい
「‥‥安上がりな人だ。女はカネをかけられてなんぼでしょうが」
修斗は冷たい声を出す。
うちの組の飲食店を何軒か任されていて
ホストクラブや高級クラブの店長をしているらしいから
そういう感覚になるのかも知れない。
「あんたはすぐカネカネって‥‥物の価値は金額じゃないわ」
「‥‥」
苺を頬張りながら
胸の中の炎を眺める。
キン
ジッポの音が聞こえるよう。
私の為に灯してくれた炎
「大事なものはお金じゃ買えないわ‥‥」