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禁断兄妹

第52章 由奈


部屋の電気を消してキャンドルをつけた。


「綺麗‥‥写真撮ろう」


携帯を構えたけれど
向かい側にいる修斗の派手なネクタイが映り込んでしまう。
私は自分の座る位置をずらしてシャッターを切った。

一ノ瀬君に見せたい
受験生だもんまだ起きてるよね

自分から誕生日アピールなんて情けないけれど
やっぱり知って欲しい。


「よし、じゃあ歌っちゃおっかな」


「どうぞ」


そして一人で手を叩きながら歌を歌って
キャンドルを吹き消した。

修斗が側にいるようになってから
誕生日はいつも一緒。

修斗は歌を歌わないしケーキも食べないけれど
いつもこうして黙って側にいる。


「ご機嫌ですね」


修斗には有り合わせの夕飯を出して
私はケーキ。
こうして向かい合っているのは久しぶりな気がした。


「誕生日だしね‥‥ってもう過ぎたけど」


「いいこと、ありましたか」


「うん。友達からおめでとうメールもらったし、こんなに美味しいケーキが食べれて幸せ」


「誰かからプレゼントはもらってないんですか?‥‥一ノ瀬柊から、とか」


「またその話‥‥?来るたび聞いても、何もないわよ」


携帯が鳴った。

一ノ瀬君からの返信だった。

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