禁断兄妹
第53章 由奈~終わりの始まり~
目まぐるしく過ぎていく毎日
季節は冬から春へ
東京へ来てから一年が過ぎた。
一ノ瀬君は大学生になり
私は人気雑誌の仕事も増えて充実した毎日を送っていた。
バイトもするしお金もまだ借りているけれど
モデルのお給料だけで生きるという夢が現実になる日は近いように思えた。
私が載ったページを見せながらそう修斗に言ったら
実現してから言ってもらえます?と一蹴されたけれど
珍しく雑誌を手に取ってパラパラと眺める横顔は穏やかだった。
そんな初夏のある日
一ノ瀬君が彼女と別れた。
チャンスだと思ったのも束の間
大学をやめ実家を出たらしい
モデルを本格的にやるらしい
そんな噂が聞こえてきた。
あいつ何かあったんじゃない
変わったよ
仲間内からそんな声も聞いた。
一ノ瀬君
あんなに勉強して入った大学なのに
モデルはバイトでいいと言ってたのに
どうして
何があったの
心配で不安で
だけど電話をしてもメールをしても
一ノ瀬君からの返信はなかった。